【伊勢丹問題2】平成29年9月議会 議案質疑 山中啓之議員

平成29年度議案第12号「平成29年度松戸市一般会計補正予算(第2回)」の中の、「伊勢丹のワンフロアの一部を借りる為の債務負担行為21億円」に関する部分に関する記事の第2弾です。

二人目の山中議員は、議案第22号とともにこの議案に質疑しました。議案第12号の部分のみ記事にいたします。

本記事についても、「一括質問一括答弁」方式で行われたやりとりを、質問ごとにまとめてみました。現場やインターネットで傍聴したものをブログ主が記録にしたものですので、正式な記録ではないですし、ブログ主による知識不足や聞き取りミスによる誤りもあるかもしれません。また読みやすくする為に、表現を変えたりしている部分もありますので、その点はご了承ください。

なお、事前通告後配られた資料や、直前の中田議員の質疑内容と被らないよう、通告内容を一部変更・割愛したとの事です。

※この質疑の模様は、山中議員が YouTube にアップしています。

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提案内容やその立案過程・客観的事実に基づいた、常識的かつ合理的な評価・分析・判断がされているか確かめるべく問うので、極力市民が理解し、共感しやすいような中身の濃い答弁を求める。

<1>松戸市と伊勢丹松戸店の契約の発祥について

9年9カ月の長期間にわたり、金額も21億600万円と膨大な内容だが、本件の発端はいつごろ・どちら側から・どんな形で持ち上がったのか。
→前日に配られた資料の「事業化の背景」欄で、公式には「平成29年1月市との協議の中で伊勢丹側から床を借りてくれないかと提示された」と載っていたので、質疑割愛。

<2>伊勢丹側が受け入れた条件について

かねてより伊勢丹松戸店は縮小や撤退が話題に上っている。昨秋には三越伊勢丹ホールディングスから、当該店舗を含む4店について、業績が好転しなければ縮小や閉鎖が検討されている事も明らかになったと報道があったばかりである。

(1)本契約で伊勢丹松戸店の撤退リスクは本当に無くなったのか。
(2)縮小についてはどこまで食い止められると考えているか。またその根拠は。

昨年9月7日東洋経済オンラインなどで、伊勢丹の撤退が検討されていると報じられた。それから今日まで大きな客観的事実の変化が起こった。時系列で言うと、
1.今年2月13日の時点では、伊勢丹と現在の建物全体の営業を前提として、松戸市と伊勢丹側の協議が進んでいたため、市は高層階である9階をテナントとして借りる意向だったこと。
2.3月大西洋社長の任期途中の突然の退任があったこと。
3.5月23日伊勢丹側から、店舗を継続するための案として、上層階をオーナーに返却して、地下1階から地上4階までを借りて事業を計億することを検討。「ビルオーナーとの契約縮小」「松戸市公共施設の導入」、この2条件が揃わなければ、松戸店の営業継続は難しいという状況をはじめて市に報告されたこと。
以上から考えると、すでに伊勢丹の縮小は事実上近い将来現実のものとなるし、それだけでなく市施設を入れるという市側の協力がなければ松戸店そのものが撤退するリスクも、かつてないほど大きな現実味を帯びてきたことになっている。
事実上、伊勢丹の今後は市に匙があるといっても過言ではない。一方で市はこれらの数カ月の状況変化を踏まえて、今後について市政施行以来最大限のリスクマネージメントをしておく必要があると考える。(1)(2)で撤退リスクと縮小見込みの程度をききたい。
前者の質疑にもあったが、市が伊勢丹と契約している10年間は「途中解約不可」ということ。それを以てとりあえず10年間は営業が続くだろうというような楽観的予測をするのは、私は良いことだとは思わない。
企業がつぶれる可能性は勿論あるが、「企業が続いていても実際はこの契約が形骸化される」ことのほうが私は非常に怖いものだと思う。
契約があるけれども、解約されないだけで、地下1階から地上4階の一部までのさらなる縮小や、伊勢丹側の売り場の縮小もありうるのではと私は考えている。
最大限厳しく見積もって、こういう場合市民からみれば骨抜きとならないことが市にとって必要な対策と考える。市が契約してしまえば、後の店舗をどうするか、どこまで小さくするかは伊勢丹側に匙があることを厳しく受け止めてほしい。
そこで市は、一歩進んだリスクヘッジとして、途中解約不可文言を入れるだけでなく、まずは、これ以上縮小されぬよう、同社に対して求めるべき、と考える。
例えば、店舗数、売り場面積、の担保といった客観的な基準を設定するといった交渉はしたのか。契約10年間続くけれども、形骸化してしまう、お客さんも来ない、市の活性化も起きない、ということが大きく懸念されるが、この骨抜きリスクに対する見解と、10年間の間に許容できる伊勢丹が縮小した場合の範囲の設定について、如何お考えかを含めて答えてほしい。

→小林邦博総合政策部長
10年後のリスクヘッジについて。具体的なストアプランは今後決定されるときいているが、イメージとしては地下1階から3階と4階の約4割という形で売り場を圧縮して、5階以上はビルオーナーサイドで集客力あるテナントを誘致する方向で協議が行われていると聞いている。10年大丈夫だとシビアな案で進んでいるので、10年は大丈夫だと私は認識している。

→山中:第2質問
伊勢丹が受け入れた条件について。具体的なストアプランが決まっていないとのピントのずれた回答で危機感を強めた。プランが決まっていないからこそ、市は10年後のことを見込んでおくのではないかと聞いている。伊勢丹は6月に株主総会があったが、2016年現在営業利益率が1.9%、高島屋の3.7%と比較して約半分と見劣りする数字で、注目集まる大西前社長の任期途中の退任についても、真意が語られなかったと報道された。要は懸念材料が非常に大きく、最悪の場合は伊勢丹も市財政も共倒れのリスクがある。今一度、縮小や撤退リスクに対する市の判断基準の有無の設定を教えてほしい。百歩譲ってそれがダメだったら、撤退・縮小をどこまで止めたいかでも構わない。

→総合政策部長(2回目)
今得られる情報等を総合的に勘案して、妥当であるという判断基準である。

<3>本市の基本姿勢について

(1)これまで特定の民間企業1社に対してこれほどまでに公金を投入した前例はあるか。なければ、公金投入について公平や平等の原則をどう考えるか。当該店は松戸のシンボルというが、他の店舗(例:東口イトーヨーカドー、ダイエーなど)にはそうした”特別扱い”はしないのか。
→議事録を調べたところ、かつて沢間俊太郎元議員が度々問題視していた健康福祉会館が年間約2億7000万円の20年契約というのを発見したので、割愛。

(2)10年間とした根拠は。また、その後の示唆は一切示されていないのか。10年後の市の判断基準はどこにあるのか。

担当者からは当初、協議において5年間という設定の案も提案していたと聞いたが、初期投資もかかるため、色々と考えて10年間としたようだ。
10年後には駅前の再開発ビルに入ってもらう事も考えられるが、10年後に完全撤退するのも当然伊勢丹側の自由。民間企業はそれだけフットワークが軽いと思う。
いずれにせよ10年間と設定をのんだ松戸市には10年の契約が切れた瞬間のこともセットで考え、現時点でその基本姿勢を公にし、示すことが最低限の説明責任ということに疑う余地はない。またそれこそが我々市議会が平成28年12月22日に当時の大井議長の下に決議した、決議の文末にある「市民の皆さんとオールまつどで取り組むことで、本市唯一の総合百貨店である伊勢丹松戸店を支援していくこと」の本旨に他ならないと私はそう考える。
規約の切れた10年後の基本姿勢を市民に示してほしい。
また更に10年とか一定期間の契約をするつもりなのか、その場の出たとこ勝負なのか、教えてほしい。

→小林政策総合部長
ご存知のように松戸駅東口新拠点ゾーン、西口周辺の新たな街づくりについては、様々な展開があり、これから皆様に説明していくことになる。そのような中で、駅前再開発ビルに伊勢丹が移転してもらうという事も、一つの案としては考えられると思うが、現段階で明確にお答えすることは大変難しいと認識しているのでご理解賜りたい。

→山中:第2質問
10年後の方向性を伺ったが、明確な戦略がなく、とどのつまり出たとこ勝負であることが露呈した。これは致命傷ではないか。まだ形にもなっていない駅前ビルなどの未確定な部分への期待感のみを頼りに、外堀を固めることができると思っていたら笑止千万である。責任ある答弁とは思わない。また、伊勢丹はもし何の変哲もないビルの一角にちょこんと入ってしまっていたら、それは松戸市としてのランドマークとしての現在の建物ではなくなってしまうので、今一度そこも含めて伊勢丹のあらまほしき姿について市民にも問うてみるべきだと思う。10年後ここにいる答弁者の皆さまは再任用も終えて引退されていらっしゃると思うが、まだまだ将来ある世代に残す明確な道しるべを示してほしい。判断基準を胸をはって答えてほしい。

→総合政策部長(2回目)
伊勢丹が主導権を持っているのではという点は、誤解がある。相互に協議を進めてきた。

(3)本件は8/21の議案説明で議員に知らされたばかりである。一企業の延命のための拙速な判断ととられかねないが、市民の意見の集約や合意形成はどこでされ、どう反映されたのか。
→もはや現段階で聞く価値に値する内容が無くなった為、割愛。

<4>各種数値(金額・人数等)の妥当性について

本質疑の冒頭で、私は市が客観的に事実に基づいた合理的分析判断されたのか確かめたいと申し上げたが、政策判断の前にその前提となる数値の乏しさに辟易とすることがしばしばある。今回もそうである。数字の把握状況の粗さや取り扱いの乱暴さが散見された。

(1)テナント料金について

1.他の場所と地価や路線価など一般的に不動産契約をするのはだれでも当然行うであろう比較検討をどれだけしたか。

→小林総合政策部長
数値が明確でないという話だと思うが、テナント料については先ほど答弁した通り、今ある1階のテナント料が3万円台ということと、不動産関連の業者から入手した近隣類似店舗テナント料の情報から比較して、妥当な範囲の賃料であると判断したところである。

2.10年間という長期契約は、伊勢丹側の店舗存続から見れば、明らかに有利な安心材料。市は長期割引として、当然いわゆる値引き交渉をしているのか。そもそも当初の坪単価2万8000円が算出されたのはだれがどうやってされたのか。もし市がしたのなら、割り出し方を教えてほしい。或いは向こうの言い値をそのまま飲んだのか。

→小林総合政策部長
テナント料については今言った用に妥当な範囲だと判断しているが、地方自治法の第2条14項最小の経費ということもあって、少しでも支出額を少なくさせるべく、ずっと交渉を継続している。昨日、減額の決定について三越伊勢丹HDから連絡を受けたところである。詳細については早急につめたいと思う。また、債務負担行為は上限額の設定なので、議会の承認を頂き、交渉がまとまった場合は、その減額した額で契約することは可能。

→山中:第2質問
昨日減額が決まったとの事でそれはいい話だが、となると補正予算の計上額に変更が生じたことが明らかになった。よって、継続審査・否決或いは修正して今議会に諮るということになるかと思うが、それは常任委員会の動向を注視することにする。最も気になるのは、本件そもそも伊勢丹のお願いで始まった案件なのに、値段をはじめとした主導権が何故か向こう側にあると思われることである。市がもし交渉の余地があるのなら、行うべきは坪単価以上に、10年間の営業規模の維持基準の設定と、10年後も一定期間残ってもらうことなど、この大きな2点ではないか。そういった点を含めて値段交渉を行ったのか示してほしい。

→(答弁漏れ?)

(2)経済効果

大変重要だが、何度聞いても説明が分からない。時間の関係もあって、焦点がピンボケにならないよう、箇条列挙する形でお答えいただくと幸い。もっとも重要な指標の名称と金額或いは人数など、対応する数値を端的に教えてほしい。

1.市長は立地上の相乗効果を期待し、街の賑わいを取り戻すとしているが、それを検証する適切な指標は何と考えているか。また、その金額と人数は。
2.それを下回った場合、主な責任は誰にあると考えるか。また、今後の契約等における判断基準に影響するか。

→桑原靖雄経済振興部長
当初予定していたのは、経済効果について、概数を用いて説明する予定だったが、質問の中で客観的な数字をもとにどういう根拠で積算したのかというのを説明するという事だったので、その部分について詳細に説明する。

まず生涯学習事業としての公民館講座、千葉県の事業である生涯大学校、この2つについて参加者について、年間約4万人と想定、想定項目は、公民館講座平成28年度の参加者が3万3034人、生涯大学校が平成29年度の学生在籍数から割り出した延べ参加人数が、健康生活学部においては3486人、地域活動学部においては2340人これが延べになるが、複数回あるので、約4万人と計算している。まつど市民活動サポートセンターは、平成28年度の利用件数・利用人数が2386件56638人、これで6万人と見積もった。この2つを合わせて、今現在のある場所から松戸市の中心の方に人が流れるのが、合わせて年間10万人という事になるという風に算定している。

更に使用するデータとして、平成29年1月に策定した、松戸市商業構造基本調査・商圏調査事業委託報告書において、松戸駅周辺での消費金額に関して行ったアンケート調査がある。そのアンケートの設問が「松戸駅周辺を訪れるときどのくらいのお金を使いますか。」となっていて、選択肢が3000円未満、3000円~5000円、5000円~10000円、10000円~20000円、20000円~30000円、30000円以上、となっている。それぞれに対してパーセンテージが出ており、3000円未満が38.3%、3000から5000円が13.0%、5000円から10000円が33.2%、10000円から20000円が8.3%、20000円から30000円が4.1%、30000円以上については0.9%。それぞれの幅の中間値を取って、3000円未満は1500円と想定し、10万人が来た場合の試算として38.3%だから38300人、これに1500円をかけて5745万円という事になる。

以下同様に計算を行った結果、積算すると6億3045万円という数字が出てくる。この6億3045万円という数字が新たにこちらに2つの事業を行う事によって、新たに来訪する方が消費する金額という事になる。このように試算した。

この事業の効果については、新たに中心市街整備作って、事業参加者の利便性、さらなる事業の充実を測るとともに、参加者の増加による賑わいの創出、ひいては購買・飲食等の経済活動を促し、中心市街地の活性、最終的に活性化に寄与することと考えている。

→山中:第2質問
10万人で6億3000万円の効果は、大層強気の見込みだ。私にはにわかには信じられないが、答弁の内容は理解できたので指標については再質問はなし。数値を下回った場合の主な責任は誰にあると考えるかについては答弁漏れなので、公務員としての教示を持ち、逃げずに堂々と答えられないか。答弁なき場合は、そのことを以て議案に対する態度を決める。

→(時間切れの為、答弁なし)

(3)他施設の複合化に伴うコスト削減の見積もりについて

1.つかみ(概算)で算出しているが、もう一歩踏み込んだ算出根拠を示されたい。
→資料に平米単価40万円としてあったので、割愛。1点のみ各施設の解体費を含んで考えているかどうかのみだけ、答えてほしい。

→小林総合政策部長
各施設とも解体費を含んでいない。

→山中:第2質問
含んでいないとの答弁を了解した。「公共施設白書」のP69を見ると、「第3章 大規模修繕及び建替えにかかる将来費用」で、行政サービス施設をはじめ、その他施設まですべてが解体費含むと明記されている。平成25年3月に市が出した自らの白書を否定するかのような整合性の取れない答弁だった。白書の具体的な計画を構築中なのに、既に作った白書が骨抜きなのか。早速例外の前例が出来るのか。いずれにせよ、整合性のないずさんな伊勢丹との契約ありきのようなコスト計算の見直しの必要性について、見解を示してほしい。

→総合政策部長(2回目)
単体であると34億。複合化・集約化すると18億という事で、両方に解体費が含まれていないということである。建設単価については、現状の延床の現地建て替えと、集合複合化における建設コストの差額効果は、新たな行政需要等に伴う増床要因がなければ、同様であると捉えている。

2.複合化について、場当たり的な発想ではなく、公共施設全体の整合性や合理性、また今回の対象施設の安全性等をどこまで精査しているか。現在の見積もり以上に、後からなし崩し的に増える懸念はないか。
→割愛する。

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